基本理念 原点回帰 ~守体性から主体性へ~
はじめに
1949年、戦後の荒野の中、日本青年会議所は、新日本の再建は私たち青年の仕事である、と高らかに宣言し、修練、奉仕、友情、の三信条を掲げて歩み始めました。昭和、平成、令和と時代が移り変わる中でも、その志は脈々と受け継がれ、今もなお、社会の変化に真正面から向き合う運動体として、全国各地で活動が続いています。宝塚青年会議所は、1966年の創立以来、多くの先輩諸兄姉の努力と情熱によって育まれ、2025年には創立60周年を迎えました。あの節目の式典で感じた先輩方の重ねてきた年月の重みと、地域に根ざして築かれてきた信頼の深さ、それらは、私たちが引き継ぐべき誇りと原点であり、同時に責任でもあると感じております。
2026年度のスローガンは、原点回帰~守体性から主体性へ~
守体性とは、責任を避け、波風を立てず、無難にこなすことを優先してしまう、現代社会に蔓延する守りのモードです。しかし、そんな姿勢では、組織も、地域も、自分自身も変わりません。今こそ、そこから抜け出す時ではないでしょうか。2026年度、私たちは守体性を脱ぎ捨て、自ら動き、自ら仕掛ける主体性を全開にして挑みます。また、私たちが展開するこのJC運動そのものもまた、一つの価値あるブランドです。社会に向けてどのように届けるのか、誰に響かせるのか。ブランドマネジメントの視点を持ち、想いを発信していくことも、現代における運動体としての責任だと考えます。どれだけ良い活動も、伝わらなければないのと同じです。だからこそ、内に誇りを持ち、外に発信をし続けていく必要があります。
一人ひとりが原点に立ち返り、自分の存在が組織と地域にどう貢献できるかを見つめ直す。そしてこの組織にいる意味とやる意義を再確認しながら、一致団結して次代を創る一年にしてまいります。
一人ひとりが主体性を持った会員拡大
宝塚青年会議所が歩んできた歴史は、多くの先輩諸兄姉の想いと行動によって築かれてきたものです。その軌跡を未来につなげていくためには、新たな仲間との出会いが不可欠です。しかし、会員拡大は数を増やすことだけが目的ではありません。私たちが大切にしたいのは、この街に関わりたい、一緒に何かを成し遂げたい、という想いを持つ人とつながり、その想いを共に育んでいくことではないでしょうか。青年会議所の魅力は、人とのつながりの中でこそ伝わっていくものだと感じております。誰かと語り合い、ともに動く中で、理念や意義が自然と伝わっていき、その延長線上に、仲間になりたいと思っていただけるような流れを、私たちは大切にしていきたいと思います。2026年度は、青年会議所ってなんだろう、と興味を持っていただくきっかけをつくり、まずは私たちの存在を知ってもらうことから始めていきたいと考えております。これまで以上に、青年会議所という存在に少しでも関心を持っていただけるような雰囲気づくりや、誰かとの自然な繋がりが生まれていくような流れを意識していくことも、その一歩に繋がるのではないでしょうか。
会員拡大とは、関係性を育てること、共感を届けること、そして、未来へ想いを託していくことだと思います。この人と一緒に活動したい、と感じてもらえるような空気を、まずは私たち自身が体現していき、一人ひとりが65周年に向けて繋いでいくために、想いに共感できる仲間を一人でも多く増やす、そんな一年にしてまいります。
魅力を未来へ繋ぐまちづくり
宝塚市は、中山寺や清荒神をはじめとする歴史ある寺社仏閣や、小浜宿、宝塚歌劇や温泉、手塚治虫記念館など文化、芸術、歴史が息づくまちです。さらに北部には豊かな自然と農業、そして山本地区に代表される全国有数の植木産業が広がり、古くから人々の暮らしを支えてきました。こうした多様な資源は本市の大きな魅力であり、私たちの誇りでもあります。しかし現実には、観光は日帰りや単一目的利用にとどまり、地域経済を大きく潤すまでには至っていません。農業や植木産業も高齢化と後継者不足が深刻化し、宝塚を支えてきた産業基盤そのものが揺らぎつつあります。このままでは、かつての賑わいや誇りが静かに失われていくのではないでしょうか。だからこそ、私たち宝塚青年会議所は、このまちのリーダーとして、まずは自らが宝塚の魅力に気づき、語り、動いていく存在でありたいと思います。その小さな一歩が、市民や行政、団体へと波紋のように広がり、やがては大きな流れとなっていくのではないでしょうか。観光や文化芸術、歴史、農業や植木といった宝塚ならではの資源を見つめ直し、私たち青年会議所メンバーが語りたくなるような空気を作っていくこと、それこそが未来に残るまちづくりの土台になると信じています。
私たちは、宝塚サマーフェスタや、湯のまち宝塚タンサンフェスなど、様々な事業に関わってまいりました。2026年度も、より地域の声に耳を傾けながら、このまちの今に寄り添い、これからの可能性を共に考えていける関わり方を模索していきます。まちとつながり、人とつながり、誰かにとっての最初の一歩が生まれるような活動をしていきたいと考えております。子どもから大人までが、同じ場所で笑い合い、地域の風景として心に残る時間、そんな記憶の積み重ねが、私たちのまちに、より彩りを与えていくのではないでしょうか。
主体性を発揮できるリーダー育成
青年会議所が目指すリーダーとは、肩書きや立場にとらわれず、自ら動き、周囲を巻き込める人財です。その姿勢は、他者を変える前に、まずは自分自身のあり方を問い直すことから始まります。誰かが用意してくれた舞台ではなく、自分で目的を掲げ、計画を立て、仲間を巻き込んで事業を動かす、そのプロセスこそが、真の学びの場ではないでしょうか。壁にぶつかり、想いが空回りし、計画通りにいかないこともあるかもしれませんが、試行錯誤を経て事業を形にしたとき、私たちはできる、できないではなく、やるか、やらないかで動ける人間に育っていることに気づきます。与えられた仕事をこなすだけでは得られない、本気で向き合ったからこそ得られる成長があります。
常に自分自身の限界に挑み、誰かのために汗をかき、殻を破っていく場所です。まちの未来を創るために、まずは自分を鍛え、成長させる場所、そんな原点を胸に刻み、 一人の青年経済人として、地域に希望を灯せる人間に成長する一年とします。同時に、青年会議所の事業は、個人の経験にとどまりません。自分ひとりの力ではできないことも、仲間と共に真剣に向き合い、形に落とし込むことで、誰が担っても同じ想いで続けられる仕組みとなります。一人ひとりが情熱を注ぎながらも、組織としては次へと受け渡せる。その積み重ねこそが、自分自身の成長を超えて、まちに希望を灯し続ける力になるのではないでしょうか。
そして、まちの未来を担うのは、青少年です。 だからこそ、私たちは若者が地域や社会に関心を持つ、最初のきっかけを生み出す存在でありたいと考えています。まちの未来を考えるきっかけは、大人になってからではなく、もっと早い段階で育まれるべきではないでしょうか。 その一助となるのが、私たちが継続して取り組んできた青少年セミナーです。同世代との交流を通じて視野を広げ、自分では気づけなかった強みや価値観に出会うことができる。誰かの言葉に背中を押されたり、自分の言葉が誰かの心を動かしたりする。未来を担う世代が、自分の暮らすまちに想いを持ち、声を上げ、動く喜びを知る。そのような体験の場を、提供していきます。そこで得られる小さな気づきや関心が、大きな行動に育ち、やがてこのまちを背負って立つリーダーへとつながっていく。 その一歩に寄り添える存在でありたいと、私たちは考えます。
持続発展する組織運営
青年会議所の活動を円滑に進めるうえで、見えない部分を丁寧に支える土台が必要です。理事会の運営、議案の整理、各種申請や予算編成、スケジュール管理など、メンバーの活動が円滑になるための役割を担っています。どれだけ素晴らしい事業構想があっても、期限が守られず、議案が整理されなければ、組織の信用は簡単に揺らいでしまいます。逆に言えば、しっかりと基盤が整えられているからこそ、他の委員会がのびのびと、自由に、挑戦的な運動を展開することができるのではないでしょうか。私たちは、メンバー一人ひとりの時間を預かっています。だからこそ、ルールや運営体制だけでなく、報告、連絡、相談や対内、対外とのコミュニケーションを徹底していきます。それは自由を縛るためではなく、自由に挑戦するための信頼をつくる行動です。
また、今期は単なる事務局的役割にとどまらず、ブランドマネジメントにも取り組みます。発信が自己満足で終わるのではなく、地域や行政、企業、そして未来の仲間に対して、共感を呼び起こす運動として届けるために、発信の質、タイミング、対象者との関係性にまで踏み込んでいきます。
さらに、私たちの活動を長く紡いでいくためには、先輩諸兄姉との交流も行ってまいります。交流を通じて、想いを共有し合うことは、宝塚青年会議所の歴史と未来を繋いでいき、組織の持続発展を支える力になると考えております。
おわりに
本年は、60年にわたり地域に貢献してこられた先輩諸兄姉の想いを受け継ぎ、次の世代へと繋いでいく非常に重要な一年です。その重みと責任を胸に、私たちはもう一度、自分たちの原点を見つめ直す必要があります。スローガンに掲げた、原点回帰~守体性から主体性へ~は、受け身の姿勢を手放し、自ら考え、決断し、行動していく覚悟を意味します。
この一年が、ただの通過点ではなく「未来を創る起点」であったと言えるよう、各メンバーがそれぞれの立場で挑戦と成長を遂げてほしいと願っています。そして、その連続こそが青年会議所の価値であり、地域の希望へと繋がると確信しております。
第61代理事長 片野 泰敬
